お手紙を書いたら

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もう一度はじめてを味わいたい -白蛇:縁起-

「白蛇:縁起*1」を先日はじめて鑑賞してきた。大人になってこんなに泣きます?というくらい大泣きしつつも、とってもすてきな時間を過ごせて、映画館から真夏の太陽の下に出たときは「映画館に戻ってもう1回観たいな〜!」って清々しい気持ちだった。

 

配信で家でゆっくり映画を楽しめる時代ではあるけれども、家では用意できない椅子、大画面、高画質、高音質の環境で作品を観るのはやっぱりぜいたくな体験だ。

 

あ〜あ、

できることなら、すべてを全部忘れてもう一度はじめてを味わいたーーーい! 

 

今週中に2回目の鑑賞の時間を作れそうなので、1回目の感想を書いてみる。とびとびだけれども、驚きと感動で胸いっぱいになっちゃった1回目の感想は1回きりだから。ほんとうに、ぜんぶ忘れてまたはじめてを味わいたいよ…

 

 

まずはとにかく映像が綺麗で引き込まれた。ふとした時に、「あれ、これ実写だっけ?」って思ってしまうレベル。お花や紅葉やタンポポの綿毛...個人的には河を下るシーンの渓谷の奥行きが好きだったなあ。

佐久間さんが「ぬるぬる動く」と言っていたのがよくわかった。ぬるぬる。特に蛇、ぬるぬる。口の中とか目の周りとか粘膜の表現の潤いにぞくりしてしまうほど。蛇になりかけの白の鱗とか、リアル。

アニメを観ないわたしには「お金かかってるんだろうなあ」くらいの下世話な感想しか出せないけれど、パンフレットを拝見すると予算は足りなかったそうで。予算を気にせずやりたいことをぜんぶ詰め込んでくれていたらどんな豪華映像になっていたんだろう。

 

実は公式YouTubeチャンネル*2で事前公開されていた映像のうち、拝見していたのは最速解禁PV、TVCM、本予告のみ。

「白蛇:縁起」に限らず最近の映像作品は公開前のプロモーションが充実している印象だけれど、わたしは可能な限りまっしろな状態で観たい。(インタビュー記事でおすすめポイントを読むのは好き。映像や音声は予告程度にとどめる、というのがわたしの楽しみ方。この差は何)

 

本編冒頭映像も事前に観なくて、個人的には映画館でお初にお目にかかれて最高だったのはここ!!

 

youtu.be

 

時間指定できているはずだけれど、墨が水に交わるように広がり、蛇が泳ぎ「白蛇:縁起」のタイトルが出る場面。わ〜!!白蛇の世界に入った!!!って胸が高鳴ってぽろりと涙が出た…

 

中国の民間説話「白蛇伝」の前世の話ということで、お話としては奇を衒うものではないし新鮮味を感じるわけではない。だからこそ、すっきり後味の良い作品だったな。中国の物語ということで「ご縁」とか「運命の赤い糸」とか「来世で巡り会いましょう」という仏教ベースの考え方も見える。信心深い人間でなくても前提としてその感覚をわかっているからより入り込めた気がする。

 

だからラブストーリーとしては「縁」が軸なのかなと思っていたけれど、わたしのは「憶えていること」がこの作品の愛のテーマと解釈した。「あなたのことを思い出してさ」と連絡をもらえたりすると嬉しい。同じ体験を共有できた人と昔話をするのも楽しい。「私が憶えている」「相手が憶えてくれている」ことって、とてもすてきなことだ。

「縁起」は「縁が起こる」と書く。初めてこの熟語の意味を考えて、納得した(縁起が良い悪いでしか使ったことなかったし)。白と宣のように、現世で出会ってくれた方々とは前世でも繋がりがあったのかな?と考えてしまう。ひとでも出来事でも作品でも、自分の人生で巡りあうご縁は大切にしたいなと心から思った。

 

 

とにもかくにも、キャストの皆さんが生き生きしていて好き。髪の毛の1本1本まで丁寧なアニメーションの素晴らしさもあるし、「生きた声」がこんなにも二次元のものに命を吹き込むのかと驚いた。わざとらしくなく、聞こえたんだよね。BGMも良かった。特になにげない会話のバックに流れるゆったりとした音楽が心地よかった。

あのね、はらまきと宣の関係がとっても良い。はらまきの表情がかわいい。動物にも感情はあるもんね。軽率に犬を飼いたくなった。お腹ペチペチしたい。

 

 

はらまきにハマりまくってて笑う 

 

お話を通して1番柔軟で自由なのは宣だなあと思った。それぞれの立場という枠の中に思考も行動もかたまっていたのがそれ以外のキャラクターという印象。ある意味妖怪の方が人間らしいくらい。

白に対する「好き」にまっすぐで。見方を変えれば「好きという感情を理由にした頑固さ」もあるのだろうけれど、蛇狩りの村にいて蛇は殺さない、医者を目指す、知性で白を助けるとか…コミュニティで当たり前に暮らしている人間だったら、きっとそういう育ち方しないよ。長いものには巻かれないぞ!という頑なというよりは、自分の快さを愛おしんでいた結果が今です、という柔らかさが好きだった。

 

 

ところで、予告にも登場しているセリフに関連して涙したりハッとしたシーンたち。

 

(1) 忘れた方がいいこともあるさ すてきなことだけ覚えておけばいい

宣が白に歌を教える、声がサイレントになる演出のシーン。2人があまりに良い表情をしていて、死ぬときに思い出す「すてきなことだけ」って絶対このことじゃん!って泣いた。最後の方にもう1回あったサイレントで過去シーンを映し出す演出も良かった。人間って最初に忘れるのは声らしいけれど、きっと声がなくたってこのときを思い出しては幸せな気持ちになれるんだろうな。

 

(2) 天の理に情はない あなたは人間 私は妖怪

これはスノ担さんに聞きたい。すごく重要なシーンなのに「あなたは〇〇、私はXX」のことばに向井康二君を思い出してしまってちょっとマスクの下で笑っちゃったのは私だけですか。

 

(3) 必ず方法を見つけて また戻ってくる だから待ってて

記憶違いでなければ、俯き加減の宣の右目から静かに涙が流れたはず。 雨の雫かもしれない。でも私には、涙に見えて。きれいで、ハッと思い出したのが、この映画の日本語版主題歌でもある「縁 -YUÁN-」。ブリッジ部分ラストで、目黒くんの右ほほを静かに涙がつたう。それが重なってしまった。

 

youtu.be

 

(おもしろいなあと思ったのは、他の映画を彷彿とさせるシーン。最初の道士と白の対決は兄弟杖で戦うハリーとヴォルデモートだし、国司の見た目はもうヴォルデモートだし(まとめ方が粗い)、千と千尋の釜じいの部屋はあったし、「かしら」っぽいキャラクターもいた。タイタニックのジャックとローズもいた…)

 

 

 

Snow Manファンの私は佐久間さんきっかけできっかけで観に行ったはずなのに、本編が始まった瞬間に宣が佐久間さんだということも、縁 -YUÁN-が流れるだろうことも頭から抜けちゃって、作品の世界で泳いでしまった。

中国のエンドロールの音楽が結構明るくて良い作品だったなあと眺めていたら、佐久間大介Snow Man)の文字と縁 -YUÁN-が流れて、「ああああそっかそうだったあああああ」とさらに泣くという。

 

日本語版の主題歌は位置を考えるとなくても良いものだった。でも、わざわざSnow Manの主題歌をつけてくれたことがうれしかった。佐久間さんのたいせつな作品を、グループとして支える機会をいただけたんだなあとまた泣いたし、「白蛇:縁起」の世界に最後にもう一度引き戻された。

 

鑑賞したからこそ縁 -YUÁN-の説得力が増した。あと、宣→白の歌だなんだろうなあと感じていたものが、「これは白から宣に向けての歌だ」って思うようになった。妖怪の命の長さで生きる白と、忘却の河を渡ってしまった人間の宣の間で、憶えていることはきっと違う。でもどこかで繋がっているから、きっと会えば思い出してもらえる、だから待ってて、って。

「瞼 閉じるたびに深く 心 捕らえる白き蛇」の歌詞も、宣視点ではなくて、人間の姿で宣に出会い、人間の姿で愛して一緒にいたいのに、宣を夢に見るときには同時に自分が蛇で妖怪で人間とは違うのだという思いにとらわれる。それでも愛してしまったから・・・(サビ)

 

いろんな解釈があるだろうけどね。私にとっては白の歌だなあ。

 

 佐久間さんがいなければきっと出会うこともなかった中国アニメーション「白蛇:縁起」。あらためて、佐久間さん、W主演おめでとうございます。そしてこの作品にめぐり合わせてくれたご縁にも感謝します。私がSnow Manファンになって、佐久間さんがSnow Manにいて、アニメを愛していて・・・って、いろいろな縁が繋がってのこの機会を愛おしく思います。

声のお芝居といえど、宣のちょっとした相づちのやさしさや言い回しのやわらかさには佐久間さん自身のまっすぐな愛がやさしさが重なっていたし、宣が佐久間さんで良かった。

 

はじめてははじめてで特別な体験。2回目は2回目でまた別の気づきやすてきな時間が待っているはず。また、映画館に行きますね。